レビュー 野呂芳男『ジョン・ウェスレー』2005

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<書評1>野呂芳男『ジョン・ウェスレー』

(書評『信徒の友』2006年1月号、12月10日発売、「新着情報」欄、日本キリスト教団出版局)


著者は長年ウェスレー研究にたずさわり、これまでも多数の関連著作を生み出してきた。本書はそれらの集大成と言える。

 本書の構成は、ウェスレーの生涯について述べた後、神学的認識論に始まり人間論、キリスト論、キリストの業、義認と聖化、キリスト者の完全、聖霊論と、ウェスレー神学に特色的な項目を掲げ、組織神学的枠付けをなして展開される。そして末部では、他のウェスレー研究者との対話と今後の展望がまとめられている。

 著者は本書によって「ウェスレー神学を実存論的傾向を持った体験の神学であると解釈することによって私は一つの冒険をした」と述べる。実存論的解釈は著者の一貫した姿勢であるが、聖書、教父、宗教改革者たち、さらに現代の神学との真摯な対話を基礎にしていることはもちろんである。ウェスレーとその神学を知ろうとするとき欠くことのできない一書が加えられた。


(2006.01.31 up)

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